当社で圧倒的な支持を誇る『蓄熱暖房機』という暖房器具。
なんと採用率は70%強。
なぜ、これだけの採用率なのか分析してみました。
蓄熱暖房機って名前自体、初めて聞く方もいると思います。
とっても簡単にご説明すると、
“電気で数十個のレンガを熱し、熱を蓄え、部屋全体を温める機械”です。
もっと簡単に言ってしまうと
“暖かいレンガの塊をリビングにど~んと置くことで家全体を温めることができる”
と言えると思います。
ずばり、見た目はこのようなもの。
基本的には全館暖房に適しており、30坪~40坪程度の広さの家ならば、一番大きな容量の7kwのもの1台で十分暖かさを確保出来ると思います。
この一番大きな7kwのサイズが横幅で140cm程。
なので、『蓄熱暖房機』は設計段階で設置場所を決めてしまいます。後付けが難しい器具なのが、ちょっと難点かもしれません。
設置風景を覗いてみた
せっかくですので、設置風景をご覧頂きましょう。
この白い箱の中身をみてみましょう。
カパッと開けると、現在はからっぽになっています。この横に走っている銀色の4本線が電熱コイルになっています。この電熱コイルでこの中に入る、レンガを温めます。文字通り蓄熱していくわけです。
こんな風に、正方形に近くなっています。この波々部分の谷の部分にコイルが来ます。
結構ずっしりきます。せっかくですから、何kgくらいあるのかを計ってみます。
約7kgあります。この大きなレンガを42個並べていきます。単純計算で約300kg弱です。
ビッシリと積み終わりました。ここに、電熱コイルで熱を加えていき、蓄えます。
少し変わっているのは、この出来合いのレンガ入りの白い箱を運ばずに、現場で組み立てていくところです。
これはなぜかというと、とても重いからですね。微調整がきかないのと、壁や床にしっかりと固定していくので、レンガ自体は現場積みなんです。
ですから、床の下地補強なども必要になるのです。
2階に設置するときなどは、かなり気を使う工事でした。
で、ここも細かなうんちく部分です。この蓄熱暖房機はコンセントがありません。
このように、直結させるんですね。
200vの専用回線になります。この蓄熱暖房機と、他の回路を混同してしまうと、すぐにブレーカーが落ちてしまいます。ですので、スイッチオン・オフ、ではなく、ブレーカーサイドでのオン・オフ操作になるんですね。
今、見ていただいたレンガに、比較的電気代の安い深夜電力の時間帯に熱を加えます。
そして、深夜に暖まったレンガの熱を、昼間の時間帯に”放出”していき空間全体を温めて行きます。この時の暖まり方が、蓄熱暖房機の最も大きな特徴です。
この蓄熱暖房機は温風をビュービューと出すものではなく、暖かい遠赤外線を使った輻射熱を利用しています。
輻射熱とは太陽の自然な暖かさを想像して頂ければと思います。
遠赤外線ともいえます。
これは、温風で暖まっているのではなく、炎が持つ熱が、私達の顔に”移る”という現象です。
太陽の熱が極寒の宇宙空間を通過しても、地表を暖めてくれます。
これは、熱を電波として飛ばしているからです。これが、遠赤外線です。
この蓄熱暖房機の暖かさは、まず、室内の床や壁、そして天井をこの『輻射熱』で温めます。
暖まった室内の壁などがまたさらに輻射熱を僕らに与えてくれます。
家全体にこうやって熱が少しずつ移って行き、『寒い部屋』がなくなります。
また、温風が直接かかったり、ホコリを巻き上げないので、そこも喜ばれているポイントではないでしょうか?
操作は至って簡単で
シーズンインとシーズンオフです。
機器自体にはスイッチのオン・オフボタンはなく、基本的にはブレーカー側で操作します。
ですから、寒い時期がきたらブレーカーを入れます。そして春先暖かくなってきたらオフです。
ご家庭にある、分電盤に『蓄熱暖房器』という専用スイッチがあり、それをオン、オフします。
機器側の操作で気を使うのは『温度設定』と『ファン』です。
このような操作盤がついており、設定温度と、現在の室温、そして外部温度、現在の蓄熱量などを表示してくれます。この写真は、右側が設定温度で、左側の数字が現在の室温ですね。
この蓄熱暖房機の優れているところは、シーズンセンサーというもの付いており、外気温から蓄熱量を勝手に設定してくれます。とても寒い季節はたくさん蓄熱し、暖かくなってきたら、蓄熱量を少しずつ減らしてくれるんですね。
このようなアンテナのようなものが立っています。
外気温が低い時には100%蓄熱し、少し外気が暖かな日は、蓄熱量を少し減らしてくれます。
高性能のAIが入っているのですね。面倒くさがりの人には最高の操作性です。(私も)
実際に、冬場、どれくらい室内温度が安定してくれているのかを、モニタリングしてみました。
外部はデッキ部分に。
内部はキッチンの後ろのカップボードに置きました。
実際に計ってみると、一階二階ともに安定して19℃以上はあります。
外気が3℃~4℃の時でも室内は20度近く保ってくれているので、暖かい室内空間・・・と定義して良いと思います。当然、断熱性能との兼ね合いもありますので、当社の場合は・・となってしまいますが。
朝、昼、夜、関係なく保温してくれるのは、寒がりな方にとってはとても良い環境です。
また、ご高齢者の方のヒートショックの死亡数は年間17,000人にものぼるので、局所暖房よりも全館暖房の方がより安全な環境かもしれません。
色々と種類があると思いますが今回は7kwという一番大きな容量のもので比較してみましょう。
本体自体は各メーカーさんにより違いますが、おおよそ30万円前後になります。
そして設置の為の下地の補強工事などでおおよそ2~4万円程度でしょうか。家の造りによってはかからない事もあります。
そしてブレーカーからの200Vの専用回路工事でこちらも2~4万円程度です。
本体価格 30万円
下地工事 2~4万円
専用回路 2~4万円
が想定されるイニシャルコストになると思います。
論より証拠です。実際に設置しているご家庭や当社のモデルでモニタリングしています。
1日あたりに直すと、11月で1日約261円になります。
まだ、暖かな日が多かったので、蓄熱量も少ないようです。
で、12月はグッと寒くなり、1日約502円になります。
1月~2月という寒い時期で同じく1日500円でした。
他、各部屋での補助暖房は一切必要ありませんので、最も寒い時期で月の暖房費が15,000円が目安でしょうか。各部屋でエアコン、オイルヒーター、石油ストーブなどを付けるのと、この一台で家全体が温まる。
さて、これを高いのか、安いのという判断をしていかなければいけません。
その為にメリット・デメリットをまとめました。
今回記事を書いてみて思ったことはやはり、その家族の暮らし方と、『夏偏重型』なのか『冬偏重型』なのかで採用がかわるのかなと思います。
また、家にいる時間が夫婦、家族ともに少ない方は少しロスが出るのかもと思います。
しかし、誰もいない家にかえった瞬間暖まっているのは結構至福なことでもあるかもしれません。
次回は、実際に採用をしていただいたお客様の使い心地や採用しておもったことなどをインタビュー形式でお伝えいたします。
それでは、次回『蓄熱暖房機を採用したご家族に聞く、ほんとのとこどうなの?』をお楽しみに。
施工ギャラリー